きみは何者?-ROCK READING『ロビン』を観劇して-

 

どうも、本髙克樹さんのしがないファン、おかめです。

 

 

 

昨年の秋、ライブハウスで踊り狂う楽しみしか知らなかった私に観劇の面白さを教えてくれた作品が上演され、沢山の人に惜しまれながらも幕を閉じました。

 

それから約1年、ロックバンドによる生演奏と朗読が融合した"ROCK READING"という新感覚の舞台は様々な進化を遂げ、再び今年の秋に第2弾となる作品が上演されました。前作はオスカー・ワイルドの『幸福な王子』、今作はイングランドの口承伝説を元にしたハワード・パイルの『ロビン・フッドの愉快な冒険』を題材とした作品です。

 

HP↓↓↓

ROCK READING『ロビン』~「ロビン・フッドの愉快な冒険」より~オフィシャルホームページ | 2021年10月~11月 | 東京・大阪 (robin2021.com)

 

 

拙い文章ではありますが、このROCK READING 『ロビン』を観劇して私なりに考えてみたことを綴っていきたいと思います。デッッッッカい独り言だと思いながら目を通していただけると幸いです。

 

目次

 

『幸福王子』と『ロビン』に共通するテーマは大きく分けて2つあると考えています。1つ目は、「主人公と特定の相手の相互関係」、2つ目は「権力と金」です。

 

ロビンとジョン

👑では像になってから初めてこの世界の現実を知った王子と、そこに偶然、はたまた必然的にやってきた小さく未熟なツバメの関係性を。そして今作🏹は、仲間と森の奥深くで陽気な日々を送る、弱い者への情けを忘れないおたずね者の弓の名射手ロビンと、丸太橋で出会った体重100キログラム身長2メートルの大男リトル・ジョンの“兄弟の絆”が様々な場面を通して描かれていました。

 

王子とツバメの関係には共依存に近いようなものを感じたのですが、今作では、あらゆるものが激しく変動する社会のなかでも変わらないロビンとジョンの「固い(義)兄弟の絆」が楽曲や最後のシーンなどから読み取れました。

 

このように『ロビン』では様々な対比が描かれていました。それを少し整理してみたいと思います。

 

・ロビンがロンドンへ行った後も変わらないシャーウッドの森の自然⇔ロビンが連合軍を迎え撃ったことによって戦場と化したシャーウッドの森

・ロビンが先立っても変わらないジョンとの絆⇔感謝の心ほど簡単に忘れられるものはなく、以前様々な援助を受けていたのにも関わらず自身の身の危険を感じロビンに悪魔の処置を施したカークリーズの女子修道院

・懸賞金目当てでロビンを捕獲しようとしたが失敗し、さらにジョンを絞首刑にすることも失敗した結果一歩も部屋から出ないようにしたノッティンガムの長官⇔勇敢な心や冒険心を持ち合わせており、自らロバに乗ってロビンに会いに行ったリチャード王  etc....

 

(他にも何かあったら是非教えていただきたいです。💦)

 

 

エンディングの曲(🎶The Merry Adventures of Robin Hood!)でロビンが上手(東)を向き、ジョンがその前でどっしり構えて座っていることから、ジョンが約束通り矢の落ちたところにロビンの墓をつくり、顔は東に向け、緑を絶やすことなく生涯墓を守り抜いたのだと考えることができます。ラストのあのでっかいハグは、2人が天国で再会したときの喜びを表している、と思いたいです。(幸福王子のときの“天国”は地獄でもあったので、、、)

 

また、今回は演出家のスズカツ(鈴木勝秀)さんからみた本髙克樹さんと今野大輝さん像が台本に反映されているという最高に面白い要素もありました。ここでは敢えて言語化することはしませんが、それを踏まえて観劇する『ロビン』は楽しくてたまらなかったです。

 

権力と金

ROCK READINGの裏テーマはこの「権力と金」だと勝手に推測しています。資本主義社会における資本家から労働者への搾取。封建社会における領主から農民への過度な徴税や罰金。それによって広がる経済格差。富を得る者は、経済的弱者があって初めて存在する。これは舞台のなかだけでなく、私たちが生きているこの現実世界にも起こっていることであり、格差と貧困の諸問題は未だ世界中の多くの国が抱えています。スズカツさんにROCK READINGを通してこの問題をドンと突き付けられている気がします。

 

さて、王子は自身が身に着けているルビーやサファイアをツバメに運んでもらい、人々の元へ届けるという「自己犠牲」によって世直しを図りました。(しかしツバメとのやりとりから王子は「結果ではなく何でそうしたかという原理」を重んじており、世直しを口実にして辛い現実から目を背け楽になる為に両目(サファイア)を差し出した、とも考察できますが、、、)

 

対してロビンは、貴族や修道院長、騎士や郷士が経済的に弱い立場にある人々から奪い取った不法な税や小作料、本来取られる必要のない罰金を、彼らをディナーに招きたっぷりその代金を支払ってもらうことによって奪い返し、困窮している人たちに返すという「再分配」を行いました。はじめはこの再分配によって街の者たちに手を差し伸べていましたが、次第に王(キング)になりこの権力と金に染まった世、時代を変えたいという思いが現れるようになります。(♪「Party With The King」から)

 

ロビンはイエーツ卿と出会い、驕り高ぶった権力者が貧しいものや哀しみに沈んでいる者から金を巻き上げているという現実を改めて目の当たりにしたことによって、「何もかもぶっ壊してやり直す」ことを決意したのではないでしょうか。

 

さて、ここで一つの問いを立てましょう。

 

Q.ロビンの“騎士としての誇り”はいつ芽生えたのか

 

一度人を殺して以来血で血を洗う戦いを望まなかったロビンが連合軍を迎え撃った理由として、リチャード王の元で長い間戦場に赴いていたロビンに騎士としての誇りがうまれたことが挙げられていました。しかし私は、戦場に赴く前からロビンは騎士としての素質があったと考えています。

 

中世ヨーロッパの花形ともいうべき騎士は名誉ある地位であったため、その地位にふさわしい行動規範として騎士道精神が発達しました。この騎士道精神はキリスト教の影響を強く受けており、騎士には女性や弱者の保護、異端の撲滅などが求められたそうです。

(参照)中世ヨーロッパの歴史 5 封建社会のはじまりと特徴(封建制度と荘園制度) / 世界史 by ピアソラ |マナペディア| (manapedia.jp) (最終閲覧日:2021年11月14日)

 

諸事情により後者の異端の~には目をつぶりますが、「女性や弱者の保護」と聞いて思い当たる節はありますか?

 

ロビンは「女や子供には危険を与えないこと」「これまで奪われてきた金を取り返して貧しいものに返すこと」を観客である私たちを含む仲間と約束しました。そう、あのシーンです。この約束やこれまでロビンが取ってきた行動は、騎士道において騎士に求められていたことそのものでした。以上のことから、ロビンはジョンやイエーツ卿、そしてリチャード王と出会う前から潜在的に騎士の素質をもっており、様々な人物との出会いによって顕在化したのではないかと考えます。なので、いつ騎士としての誇りが生まれたのか、という問いの答えは「わからない」です。(答えになっていなくてすみません)ロビンの生い立ちが気になるところです。

 

 

 

“きみ”は何者か

次に、私が『ロビン』でいちばん好きな台詞を紹介し、それを元に好き勝手に自論を述べていきたいと思います。このブログタイトルで既にお察しの方がいらっしゃるかもしれませんが、私はロビンがイエーツ卿と出会ったときに放った以下の台詞が本当に大好きです。

 

「オレが何者かは、貴方がオレをどう見るか、つまり貴方自身にかかっている。」

 

初日にこの台詞を聞いたとき、興奮のあまりDD列(ヒューリックホールの最後列)で某グループのデビュー曲を踊りだしそうになりました。

 

 

ロビン・フッドの物語は、吟遊詩人による口承の歌物語「バラッド」によって伝えられてきたものです。口から口へと伝えられていったことにより、その時代や場所、歌い手によって様々な解釈が施された「ロビン・フッド」が生み出されてきました。歌という聴覚的な情報から聴き手が想像を働かせ、それぞれのロビン像を作り上げていったという過程はこのROCK READINGにも通ずるものがあります。キャストが朗読している声やロックバンドの生演奏といった“音”を聴き、その音を頼りに観客が物語の様々な場面の景色を想像したり、点と点を繋ぎ合わせて考察したり、音楽そのもの楽しんだりすることが出来る。観客の数だけ想像される景色や舞台の楽しみ方があるということが、ROCK READINGの魅力のひとつだと思っています。

 

しかし、私が興奮した理由は他にあります。ここからがこのブログでいちばん伝えたいことです。

 

 

私はこの台詞を聞いて「偶像として崇拝されている“アイドル”にも当てはめることが出来るのでは、、、」と思いました。

 

まず、開幕前に公開されたインタビュー記事を振り返ってみます。

 

【本髙さん】

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本髙克樹さんの「素顔」に迫る一問一答!ROCK READING『ロビン』 – plus a/プラスエー (plusa-theater.com)
より一部抜粋(最終閲覧日:2021年11月13日)

 

【今野さん】

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今野大輝さんの「素顔」に迫る一問一答!ROCK READING『ロビン』 – plus a/プラスエー (plusa-theater.com)
より一部抜粋(最終閲覧日:2021年11月13日)

 

“本髙克樹”という人間そのものを好きになってほしいかつきくんと、アイドルは“ファンがつくるもの”と考えるこんぴい、まさに正反対(🎶Robin & John)で非常に面白い。良いコンカツです。

 

今回注目したいのはこんのさんの「アイドルってファンの方たちが作るものだと思うんです。」という回答。

 

アイドルの語源は偶像であり、崇拝の対象とされています。私たちの目に映るアイドルの姿は、実在の人物をあらゆる媒体や独自の解釈を通して見ているものです。つまり、同じアイドルのファンであっても、ファンの数だけその人物に対する「理想像」があります。分かりやすい図を作成された方がいらっしゃいますので、引用させていただきます。

 

(引用の許可はいただいております。ねみ様ご承諾いただきありがとうございます、、、!)

 

 

この“アイドル”に対する考えとセリフが見事なまでに一致し、それが大好きな“アイドル”の口から放たれたという事実が私を異常なまでに興奮させました。

 

本髙克樹さんが何者か、それはわたしたちが彼をどう見るか、つまりわたしたち自身にかかっている。

(インタビューでの質問の回答やオフィシャルブログから読み取れる本髙さんの考えとは少し相違がある思想かもしれませんが、本髙さんがこちらに提示してくれる要素はぜんぶぜんぶ大好きです、、、、)

 

 

 

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劇中の楽曲やその歌詞についてのことなどまだまだ書き留めておきたいことが山ほどありますが、卒業論文に追われているため今回はこの辺で終わりにしたいと思います( т৹т )

10/21~11/7のロビン期間は本当に楽しいことがたっっっくさんありました。この舞台を作り上げたすべての人に感謝したいです。

千穐楽が終わり幕が無事に下りてから「消えてしまった喜びや楽しみが、再び歩き出すことはない」んだ、、、といわゆるロスの状態になっていますが、最後のカテコでかつきくんが放った一言に対する興奮は未だにおさまりません。ほんと好きだなって思いました。

 

ロックリーディングは他の誰でもない、きみたちのものだよ!!!(号泣)

 

 

皆さんの感想や考察なども是非お聞きしたいです。最後までお読みいただきありがとうございました。